海のゴミ問題、まずは目を向けてみることからはじめよう!

海のゴミ問題 ダイビングコラム

海のゴミが問題になっているのは知っているけど、実際どんな状況なのか知っている人は意外と少ないようです。

今回は海のゴミがなぜ問題なのか分かりやすくご紹介します。ぜひ参考にしてください。

海のゴミ問題

海のゴミと聞くと海岸に落ちているゴミを思い浮かべる方も多いと思います。しかし、それ以上に深刻なのが「海上を漂流しているゴミ」です。

台風一過の海岸に、流木や小枝といった自然界のゴミに混ざって、ペットボトルや発砲スチロール、ビニール袋といったプラスチックゴミが大量に打ち上げられています。

どこからあれだけのゴミが流れてくるの?

実は、こうしたゴミのほとんどが海上を漂流していたゴミなんです。

流木や枝は自然界のサイクルで海の栄養素となり、いずれは分解されていきますが、問題は人間が人工的に作り出したプラスチックなどのゴミです。

漂流ゴミは1億6500万トン

海上を漂流しているプラスチックゴミは全世界で1億6500万トンもあるといわれ、2050年には海に生息する魚よりも多くなると予測されています。

2050年の海は魚でなく、プラスチックで溢れかえる
リサイクルで減らせる。

海はすでに1億6500万トンものプラスチックで埋め尽くされている。それはギザの大ピラミッド25個分の重さに相当する。エレン・マッカーサー財団が世界経済フォーラムと協力し作成した調査書によると、2050年までに、海中のプラスチックの重量は魚の重量を超えると予測されている。

プラスチックゴミは自然界のサイクルでは分解されにくく、海の生態系への影響が心配されています。

2018年には、バリ島の観光名所でありサーフィンのメッカ「クタビーチ」のゴミが話題になったことがありました。

バリ島で「ごみ緊急事態」 観光客に人気のビーチも
【1月21日 AFP】インドネシア・バリ島のクタビーチ(Kuta Beach)は、太陽と打ち寄せる波を求める観光客らのお気に入りの名所だが、近年、この輝く海岸線がごみの山に埋もれて消えつつある。

ビーチでは、食品トレーやストローといったプラスチック製品が訪れる観光客の周りに散乱し、海の上でも波の背後に上下するサーファーらが、川や潮流に乗ってたどり着いた大量のごみと一緒に水面に浮いている。オーストリアから来たという観光客は「泳ぎたいと思ってもあまりきれいじゃない。常に大量のごみがある。浜には、海からひっきりなしにごみが打ち上げられてくる。本当にひどい」と苦言を呈した。

インドネシア政府や各民間団体もゴミ対策に乗り出していますが、片付けてもキリがない状況が続き、根本的な原因の解決には至っていないのが現状です。

このように世界各地で海のゴミ問題が深刻介しているのです。

海洋生態系にとっての脅威

海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックは、海に生息する魚たちに影響を与えることが分かっています。

とくに注目すべきはマイクロプラスチックに含まれる有害化学物質が海の生物の体内に蓄積されるということです。

もしかして私たちの体にも間接的に有害化学物質が?

もしろん、私たちが食べている魚にも有害物質が入っている可能性があります。

海洋プラスチックごみは、決して人ごとではありません。

海のゴミ問題への取り組み

世界各国が海のゴミ問題に対して取り組みをはじめています。

2019年6月のG20大阪サミットにおいて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されました。

Towards Osaka Blue Ocean Vision

その実現に向け各国が対策について情報共有を行い、効果的な対策を促すため「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」が採択され、2021年にイタリア主導で「第3次G20海洋プラスチックごみ対策報告書」が公表されました。

報告書では、海洋プラスチックごみに関する国別行動計画の策定や法規制の整備が各国で進んでいることが確認されたほか、直面する課題として、データ収集、リサイクルシステムの改善、廃棄物処理や技術革新への経済的インセンティブの欠如などが挙げられましたとしています。
引用:環境省|G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組に基づく、第3次G20海洋プラスチックごみ対策報告書の公表について

一部では海のゴミ問題は「もう手遅れ」と答える人もいますが、決して諦めるのではなく、まずは海のゴミ問題の現状を知り、一人でも多くの人にそのことを伝えていくことが大切ではないでしょうか。

 

レジ袋の有料化にため息をつくまえに、海のゴミ問題に対して私たちのできることは何なのか、考えることからはじめてみては?

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